日本に仏教が伝えられて以来、私達はあまたの仏様を礼拝してきました。その中でも人々から「お薬師さん」と親しまれ、心と体の病気を治し、長寿や財を与えてくださる「現世利益」の仏様として絶大な信仰を集めてきたのが薬師如来という仏様です。

愛知県の水谷しづさんは脊髄カリエスという難病にかかり、長年床についていました。安楽寺先代の住職のすすめにより、ご主人の水谷繁治さんは病人のしづさんとともに四国へんろをすることを決意しました。タクシーと徒歩で巡拝をし、しづさんが歩けないところはご主人が背中におぶって「南無大師遍照金剛々」と一心不乱にお詣りし、土佐27番神峰寺の山道にさしかかりました。当時は山上までは車で行けません。坂道を這うようにして登り、一心に病気平癒を祈りながら下山する時、「足元に気をつけて」というご主人の言葉の矢先、しづさんはずしんと転んでしまいました。夫は顔色を変えて抱き起こそうとしましたが、妻はそれを制し、おそるおそる一人で立ち上がりました。不思議なことに「誰かありがたいお方がニ回しゃくるように起こしてくれた。」と言います。その日からしづさんの体力は日ごとに回復していきました。それから二人は土佐、伊予、讃岐とうれしい報恩の旅を続け、日に焼けて真っ黒になって八十八番大窪寺を満願することができました。お大師様の御誓願と山紫水明のお四国の風土と己を捨てて信念と信仰に生きることで、医者にも見離されたしづさんの難病が快癒したのです。この仏縁によって水谷さんご夫婦の発願で奉納されたのが当山の御本尊薬師如来です。水谷さんはその後、四国霊場を支え続け、残された人生をお大師様に捧げました。一尺三寸の元来の御本尊は胎内仏として現在の御本尊の中に納められています。


薬師如来には日光、月光の両菩薩と十二神将が付き従います。

薬師如来の脇侍として知られる日光菩薩、月光菩薩は薬師如来の住む浄瑠璃世界の高位の菩薩。太陽と月を象徴した仏で、日光菩薩はその光とあたたかさで生命を成長させ、病魔を焼き払い、月光菩薩はその光と涼やかさで安らぎを与え、苦熱を取り除きます。



その昔、お釈迦さまが弟子の阿難に人々を救済する薬師如来の偉大さをお話しになったとき、十二神将がともにそれを聞いていました。十二神将はそのお話を聞いていたく感動し、それぞれが七千の眷属を率いて、薬師如来の経典を広め、その名号を唱え信仰する人々を守護することを誓ったのでした。十二という数は薬師如来の十二の大願をあらわし、子丑寅…の十二支からそれぞれの方位や時刻を護る守護神として昼夜を問わず薬師如来を信仰する人々を護るといわれています。







安楽寺には慶派(鎌倉時代に活躍した運慶・快慶の流れをくむ仏師の一派)の継承者である京都大仏師・松本明慶師が無名時代から彫り続けた仏像三十五体が各御堂に祀られています。松本明慶師は京都仏像彫刻展にて数々の賞を受賞、鹿児島県の寺院に世界最大規模の木造仏・大辨財天像(総高18.5m)を作るなど、テレビ・雑誌等でも日本を代表する仏師として紹介されています。






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